長編小説

VOICELINKとの決戦を目前に控えたKEYSTROKEの5人に、老人が贈ったのは、思いがけない「旅」だった。束の間の休息の中で明かされる、それぞれの過去。そして浮かび上がる、10年前から続く運命の糸。

模擬戦の敗北を経て、KEYSTROKEの5人はディスカッションと訓練を重ね、ついに再戦へ挑む──。戦略の共有、意図の統一、そして信頼。敵AIを制圧する鍵は、たった一行の“文章”。技術と心理が交錯する。

KEYSTROKEの作戦が明かされ、5人は過酷な訓練に挑む。それぞれが役割に応じたスキルを磨く中、初めての模擬戦が始まる――対峙するのは、老人が操る音声認識AI「実験機108」。静かな闘志が燃え上がる、KEYSTROKEの本格始動。

音声認識によるAI操作集団“VOICELINK”の正体が明かされる。リーダー“clear”の存在、毎週金曜夜にだけ動く謎の行動パターン。そしてそれに対抗すべく、KEYSTROKEはAI対AIの戦闘という新たな局面へ踏み出す。

終打の背を追って現れたのは、かつての対戦相手・琴葉だった。タイピングに希望を抱く彼女を新たな仲間として迎え、終打は秘密の拠点“KEYSTROKE研究室”へと導かれる。それぞれの分野で圧倒的な力を持つメンバーたちとともに、終打の戦いは新たなステージへ──。

観覧車の中、終打に語られるTypeFesの真の目的──。老人は、これまでの試験一つひとつに込められた意味を明かす。そして、終打が選ばれた本当の理由が明らかになる。

観覧車での静かな対話──終打の前に現れた謎の老人は、TypeFesの主催者であり、かつて父とAI開発を共にした人物だった。AI社会の裏側と、「VOICELINK」の脅威、そして終打に託された未来が語られる。

夕暮れの観覧車で行われた第3回戦は、静かなアンケート形式。問われるのは、技術ではない。終打がすべての質問に答えたとき、画面に現れたのは一言だけ——

2回戦の舞台は、まさかの屋上。タイピングではない。フラッシュ暗算という新たな試練に、動揺する参加者たち。その中で、終打は一瞬の迷いもなく机に座る。静かに、確実に、本選の本質へと歩みを進めていく――

舞台は東京郊外の静かな体育館。ついに始まったType Fes本選。全国レベルの実力者・早打琴葉の華麗な指さばきが会場を魅了する中、終打は・・・